【第38話】秀吉は本当にもうろくしていたのか…2度の朝鮮出兵のわけと最後に見せた笑顔の理由【どうする家康・考察・感想】

どうする家康38話考察 サルの画像

家康の貫禄が留まることを知らない最近の「どうする家康」!
溢れ出る知性が、人柄が、器の大きさが回を増すごとに、倍々ゲームのように成長する…
あの泣き虫な殿がこんなに立派になるとは…
私の心の中の爺やが涙を流して喜んでいる…


今回の第38話では、『秀吉が頑なに朝鮮攻めを続けるわけ』『最後茶々から「私が天下を取る」と言われて笑顔を見せた理由』について考えてみました!
しかし今回は考察より、想像強めの文となっております!
ご了承いただけますと幸いですー

目次

第2次朝鮮出兵

家康に説得され、やっとこさ戦が終わった第1次朝鮮出兵。
「戦いをやめる」と聞いた石田三成と家康のアイコンタクト、朝鮮へと向かわされていた武将たちの安堵の表情…
ようやくここから安寧の時代が始まるのか…!
一視聴者である私も、秀吉が正気を取り戻してくれてよかったと喜んで見ていました。

しかし、そう思えたのもつかの間、
新たな息子秀頼が生まれた秀吉は再び狂いだし、せっかくの和睦のチャンスを破壊するような、理不尽極まる条件を突き付けてしまいました。

もうろくしてしまったのか、秀吉!!!イヤ!!!
このままではまた地獄のような戦が始まってしまうぞ!


どうして秀吉は「誰も望まない戦」を一人だけ望み続けてしまうのでしょうか。

秀吉

(※ここから大量に想像を投入していきます!)

秀吉は農民から天下人になるという、常人にはできない偉業を達成しました。
織田家も戦国で成り上がったと言われますが、それでも小国の領主が代を重ねて領土を大きく広げたという話。
ゼロから一代ですべてを手に入れた秀吉の成功は、異常ともいえるほど際立っています。


もちろん秀吉には、知恵、人格、才能、運がありました。
しかし、秀吉を引き上げた最大の要因は、そのどれでもなく「のし上がりたい・すべてを手に入れたい」という強い野心でしょう。
例えば秀吉が信長のような性格であれば、自分よりも弱く愚かなものばかりの中で、下っ端として働こうとはしなかったはずです。
家康のような性格であれば、のし上がることなど考えず、今いる場所を守り育てることに才を費やして、名を残すことなく終わっていたでしょう。
秀吉はその野心に、秀吉が捧げられるすべてを注いだから天下人になれた。
いわば野心とは、秀吉という人間の根幹なのです。


そんな秀吉ですから、おそらく、野心がない人間というものの存在を、根本的に信じていないのではないかと思います。
例えるなら、「誰もが食欲や睡眠欲を持っている」と私たちが当然に信じるように、
秀吉は「誰もが野心を持っている」「天下に手が届く場所にいて、手を伸ばさない人間はいない」と信じているのではないでしょうか。


家康はいま、天下人の傍に立ち、天下人になりうる器量を持つ人間。
それは、かつて信長を傍で支えた秀吉と、どこか似た立ち位置です。

そう、かつて信長の傍で天下をかすめ取る隙を狙っていた、心に刀を隠した秀吉と。

秀吉
こんなん絶対天下狙ってるじゃん…
今は豊臣秀吉の力で家康を抑えているから、歯向かってこないだけで、絶対チャンス狙って待ってるじゃん…

秀吉がそう勘違いしていてもおかしくはありません。
天下をとれる人間がそこに手を伸ばさない理由がわかりません。
だって秀吉がそれでここまで来たのですから。


そう考えると、豊臣家の現状は大変に危険です!

秀吉が死んだあと、次の天下人には秀頼を座らせたい。
しかし秀頼はまだ幼く、とても日本を治める能力はありません。
家康が本気で戦えば、秀頼が負けてしまうでしょう。
そして敗軍の将は、北条家がそうだったように、当然に腹を切らされます。

かつて秀吉は、信長のもとで、信長が死にその手から天下がこぼれるのを待ちました。
そんな秀吉の目には、家康がいま秀吉のもとにつき、天下に手を伸ばさない理由は、一つしか考えられません。

秀吉と戦うよりも秀吉が死ぬのを待った方が、確実に天下をとれるからです。
秀吉が死にさえすれば、天下はどうにでもなるからです。

さて秀吉は大変な難題を突き付けられました。

このまま自分が死んだら、家康は一気に天下を奪いにかかり、豊臣家の家臣たちは秀頼を将に据えて応戦するでしょう。
しかし豊臣家には、家康に対抗できるほどの将は秀吉しかいません。
天下を取り合う戦いは、たくさんの被害を出しながら、徳川家の勝利で終わります。
その大きな代償の責任は、豊臣家のトップがとることになります。
つまり愛しい愛しい秀頼の首が飛んでしまうのです。

それだけは避けなければいけません。
秀頼だけが今の秀頼の光で、彼が幸せに生きてくれることが今の秀吉の願いなのです。

だから秀吉は考えたのではないではないでしょうか、
戦がなくなる方法を。
秀頼が少しでも安全に過ごせる方法を。

それが第二次朝鮮出兵…!

第二次朝鮮出兵

第一次朝鮮出兵では、度を越した無理攻めで、たくさんの武将や兵を失ってしまいました。
その分、周りの大名、豊臣の力は削がれたことになります。

その状態でもう一度兵を出して、今度は勝てると楽観するでしょうか?
もちろん、そんなはずはありません。
だからこそ、誰もが秀吉はもうろくしたと信じました。
しかし、秀吉だって、勝てるとは言っていないのです。

秀吉はこう言いました。
「戦には勝たんでも、戦から利益を得る方法はいくらでもある」
つまり、秀吉は、負けるとわかっていて第二次朝鮮出兵を決めたのです

では、第一次朝鮮出兵で「何も得られなかった」秀吉が、
多くの兵力を失った後で仕掛ける第二次朝鮮出兵から得る利益とは、いったいなんでしょう。

それは、豊臣家がさらに多くの兵力を失うことです。

豊臣配下の武将、野心のある武将を遠い戦地に送り込んで処分して、
天下の権勢は徳川家に移った、と誰の目にもわかるほど弱体化することです。

間接的な証拠になりますが、秀吉は、家康が朝鮮攻めに兵を出さないことを認めました。
家康の部下は自分の部下であるとして、徳川の家中の人事にまで強引に口を出していた秀吉が、よりによってこの大戦に兵を出さなくてもよいと言うのは、考えてみればおかしな話です。

信長の死後、信長の幼い孫を担ぎ上げて天下を取った秀吉は、
豊臣配下の誰かがその真似をして、秀吉の死後に秀頼を担ぎ上げ、
家康に勝ち目のない戦いを挑むことを防ぎたかったのではないでしょうか!

そう!秀吉は!秀頼を守るために!すべてのものを投げ出し!戦をなくすために、戦を起こしたのです!!!
くぁぁあああ、そんな発想するかね!?
思いつきもせんし、億が一思いついてもしないよ!!?!


そして石田三成の「合議制」
意を決して提案した新しい政治のやり方がすんなりと受け入れてもらえたのも不思議だったんです!
「望みはひとえに世の安寧…民の幸せよ…」と言って許可を出したのに、「世の安寧など知ったことか…」って180度違うことを家康に言うもんだから
もう!どういうことなの!って!

でも、秀頼のためだと考えると、納得ができました。
秀吉は今、秀頼の命が少しでも危険にさらされないように動いています。
なので、むしろ命を狙われる立場である天下人に秀頼を置きたくありません。

その時に舞い込んできた「合議制」
「天下人は無用と存じまする。豊臣家への忠義と、知識ある者たちが話し合いをもって政を進めるのが、最も良きことかと」
天下人いらないし、賢い人、つまりまだ幼い秀頼以外で話し合って決めるね、というこの提案は、もう秀吉にとって願ったり叶ったりです!

どうせ失敗する、けれども、そんなことは秀吉にとって問題ではありません。
家康が豊臣家を滅ぼすその瞬間に、豊臣家の大将が秀頼でなければよいのです。
三成の提案は、秀頼の代わりに首をはねられますと、自ら志願してくれたようなもの…ラッキーハッピー秀吉です!


もしここまで考えてたら、秀吉、全然もうろくしてない…むしろ頭の回転ぐるんぐるんです。バターになっちゃいます…

「戦っちゅうんはな、勝てなくても利を得るすべはいくらーでもある。ここにゃあ無限の策が詰まっとるでよ。」
この言葉が朝鮮から得られる日本の利ではなく、これからの秀頼の利だと誰が思いましょうか!

今まで自分の欲しいものだけに使っていたその知恵を、策を、今度は秀頼が幸せな人生を送るためだけにすべて注ぎ込んだ秀吉…
もうろくした厄介な天下人、と家臣に思われるのも当然です。
むしろ、秀吉自身も、家臣からそう思われることを承知したうえで、あえてもうろくした老人として振舞ったのではないでしょうか。
馬鹿のふりは秀吉の十八番。

なにしろ、秀頼のために豊臣家臣団を壊滅させる、という朝鮮出兵の真の目的は、誰にも悟らせるわけにはいかないのですから。

はぁ……激熱解釈すぎ…古沢さん(←脚本家の方)…

第一次朝鮮出兵

秀吉はもうろくしていたわけではなかった。
そう考えると第一次朝鮮出兵も、これまでと違って見えてきます。

上にも述べたように、豊臣家には、家康に対抗し、天下人を継げる器量の者がおりません。
このままでは、秀吉の死後、家康を抑え込める人間がおらず、すぐに天下を奪われてしまいます。

それはいけません!せっかくここまで頑張ってきたのです!なんとかせねば…
そこで実行に移したのが、信長式スパルタ教育法。

徳川と北条が旧武田領地を巡り戦った第30話。
北条が2万もの大軍勢を引き連れていると噂を聞いた、秀吉の弟秀長が、
「徳川殿に助けをやったほうがよいのではないか」と提案します。
しかし、秀吉は、
「この二十年、徳川殿が上様の下でどれほど多くの大戦をしてきたと思っとる。いまやあの三河もんに勝てる軍勢なんてそうはおらん」と語り、援軍を送ることはしませんでした。
その見立て通り、実際に家康は、少ない兵で北条に勝利を収めます。

家康は最初から天下人の器量を備えていたわけではありません。
心優しい家康は、狼のような信長から幼少期は相撲、大きくなったら多くの戦に無理矢理にでも参加させられ、信長が助けることができる範囲の中の地獄に放り込まれてきました。
しかしそのおかげでたくさんの経験をつみ、磨かれて強くなった。

そう、家康が戦を通じて強くなったのなら、豊臣家も同じことをすればよいのです。

幸い、豊臣家にも原石と呼べる才能の持ち主はいます。
特に、小坊主から知恵でのし上がった石田三成。
秀吉に境遇も似た彼なら、戦の経験さえ積めば、家康にも何とか太刀打ちできるかもしれません。

しかし困ったことに、天下統一を果たしてしまった今、三成を成長させる場がありません。
そこで目を付けたのが朝鮮だったのではないでしょうか。
日本で無理ならば、海外で三成を鍛え上げればよいのです。

おそらく秀吉は、朝鮮出兵を一度で勝ち切るつもりは、もともとなかったのでしょう。
厳しい要求で三成らを追い込んで、本物の戦を経験させ、旗色が悪くなってきたら和睦を結び、
戦勝資源と鍛えられた屈強な兵を手に入れることが目的だったのに、いつまでも連戦連勝の報告が止まらない。
これでは、「海外の兵は弱いんだなぁ」と考えるほかありません。

止める理由がないから侵攻を続けさせていただけで、
きちんと戦の報告を受けて、戦況が悪いことを把握できていれば、朝鮮からの引き上げを命じていたのかもしれません。
しかし時すでに遅し…
秀吉に正しい報告が届いたのは、
水軍はやられ、現地の武将たちは消耗し、有利な和議で資源を獲得することなど到底不可能な状況になった後でした。

詰み…
もうこれは、豊臣は自分一代限りだとあきらめるしかありません。しょんぼり…

しかし!ここで飛んできた「秀頼誕生」の吉報!

これにより、秀吉は豊臣家をあきらめるわけにはいかなくなりました。
何か手を打たねば、この詰んだ状況から逆転しなければ、秀頼の人生が終わります。

しかしどう考えても、自分の死後に家康を抑える方法が存在しない。
だから、秀吉は発想を変えました。

家康に勝てないのなら、勝てないままで秀頼を守ればいい。
家康は理由もなく秀頼を殺したりはしない。
戦いが起こらないほどに豊臣家を弱体化させ、すみやかに天下を明け渡し、後のことはすべて家康に任せればいい。

死ぬ間際、茶々の言葉を聞いて笑う秀吉

ここ!個人的に好きなシーンでした!
茶々の最後の復讐を果たすシーンなのに、秀吉が息を引き取った瞬間、
何かに気づいたように、血で汚れるのもいとわず顔を持ち上げて、ぎゅっと抱きしめるところ…
ずっと殺したいほど恨んで、手のひらの上で転がしているだけだと思っていたのに、
死んで初めて、秀吉への愛に気づいて大粒の涙を流す茶々の姿はすごいグッときました。

恨む理由がなくなったから、残る愛と悲しみに気づいたのか…
きっと張り付けた笑顔の裏で、本当に楽しかったことや、愛しい瞬間があったのでしょうね…

良くも悪くも人生の多くを費やした人間がいなくなった時の喪失感が、表情と涙にすべてこもっていて、
秀吉と過ごしていないはずの私の心も苦しい気持ちになりました。


でも!不思議だったのが、最後に秀吉が笑顔を浮かべたところ
切なさと謎が同時に来ました!

あんなにすべてをかけて守りたかった子供が、愛する妻から「秀頼はあなたの子だとお思い?(首ふりふり)秀頼はこの私の子」
なんて言われたら悲しくないのかな…?
なんで笑ったんだ…?

信長の血が流れている女

これまで語ってきた通り、秀吉の最大の弱点は、自陣に天下人の器量を持つ者がいないことでした。
秀吉亡き後、すぐに天下は家康に奪われ、豊臣の天下は一代で終わっていしまう…
これは、秀吉にとって避けようのない必然です。

だから秀吉は、朝鮮に多くの武将を送り、豊臣家の力をあえて落として、
家康に秀頼の身の安全を守るようにお願いしました。

では、その前提が壊れたらどうなるでしょうか?

これまで秀吉の前では、ただの少女のように振舞い続けていた茶々。
彼女は秀吉の死の直前に、初めてその本性を明かしたのです。

お市の方を、あるいは覇王信長を彷彿とさせる、威厳と強さに満ちた姿で「秀吉はあなたの子だとお思い?(首ふりふり)秀頼はこの私の子。天下は渡さぬ。あとは私に任せよ。猿」と。

秀吉亡き後、天下を取るに足る人間は、家康だけではなかった。
秀頼を絶対に裏切らない場所に、信長様の血を継ぐ王の器がいたのです。

なんだこの最後の1秒まで気の抜けないストーリー展開は!
しかもこれ「秀吉はもうろくしている」という視点で見たら、茶々の言葉が分からず、ふにゃあってただ痴呆で笑ってるように見える!
「もうろうしてる」と思いながら見ても、「もうろくしていない」と思いながら見てもつじつまが合う構成…
すごすぎて鳥肌立つよ!こんなの!!!


そしてここ!考えていたら気づいたのですが!天下をとれる人だけが、秀吉に向かって猿っていうんですね!!!
なにこのかっこいい演出!自分がドラマ作る人だったら絶対に真似したい!

あと予告もすごくなかったですか!ミスリードにまんまとはまりました!
絶対「秀頼はあなたの子だとお思い?他の男の子供ダヨーン!はぁっはっはっはっは」
「そそんなぁ…(絶望秀吉)」ってなるかと思った…!

秀吉の子供でよかったぁ

まとめ

「安寧な世を治めるは、乱世を鎮めるよりはるかに難しい」
そう信長がかつて言っていたと家康は話していました。

だから、秀吉は、あえて戦乱を作り出したのかもしれません。

信長が王の資質で国を治め、家康が人徳で治めるのであれば、秀吉は野心を操って国を治める。

そう考えると、平穏な世を治めるのに必要な人徳を持つ家康が天下人として収まるのは、必然なのかもしれないなぁ。


個人的に今回の考察で好きなのが、「秀吉がもうろくしているように見えているだけで、本当は違うのではないか」というところ!
本人には明確な目的があり、それに向かう最善手を打っているだけなのに、それを知らない周りの目には変な人に見えるという構図!大好きなんです!!!
これ…信長でもあったぞ!性癖ぶっささり大河ドラマめ!

そして最後が秀吉バットエンドじゃなかったのがうれしかった…
私がどうする家康の記事を書き始めたきっかけが「ムロ秀吉」だったんです!↓

その推しが、愛する人に看取られ、愛する人の言葉に見出した希望の中で最期を迎えられたのは、本当に感謝しかない…

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

初めまして。
もちもふたと申します!
九州から上京して5年…たくさんの美味しいものに出会い、たくさん楽しいことを知りました…
でも記憶力ないからすぐ忘れてしまう。
忘れたくないなぁ。
日記を書いてみよう。
せっかくだからずっと憧れだったブログ書いてみたい!
と思い、作成しました!

美味しいお店や、コスメ、映画や物語の感想などなど、書きたいときに書きたいことをちょこちょこと書いていきたいと思います。

読んでいただけると嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします。

コメント

コメントする

目次